レオナルド・ディカプリオと渡辺謙が競演した、クリストファー・ノーラン監督の話題作。
確か今年の7月末に劇場で見ました。ちょうどついこないだレンタルも開始されたので、2010年も終わりに近づいて来た今、忘れないうちに書いておきます。
確か今年の7月末に劇場で見ました。ちょうどついこないだレンタルも開始されたので、2010年も終わりに近づいて来た今、忘れないうちに書いておきます。
クリストファー・ノーラン監督の作品は『メメント』『バットマンビギンズ』『ダークナイト』を観ました。メメントの頃から『完璧に組み上げられている。』というイメージがあり、作品を追うごとにその傾向が強まって、『バットマンビギンズ』『ダークナイト』というアメコミヒーロー作品でも、重厚で、芸術作品のような風格さえ漂わせる作品に仕上げていました。『インセプション』はその極みとでもいいましょうか、『熟成された芳醇なワイン』のような作品でした。(ワイン飲みませんが…)
あらすじ
コブ(レオナルド・ディカプリオ)率いる少数グループは人の夢(潜在意識)に入り込み、アイデア、情報を盗み出す特殊な企業スパイ。ある日、仕事で知り合った大企業のトップ、サイトー(渡辺謙)にライバル会社の社長の息子に、ある『アイデア』を‘植え付ける(インセプション)’仕事を依頼される。他人の潜在意識の奥深くまで入り込みアイデアを植え付ける。それはかなりの危険と困難を伴う仕事だった…。
この映画では『他人の夢に入れる』『1人の夢の世界を、複数人で共有できる』『夢の中でも自らの意思で行動できる』という前提があり、他人の夢(あるいは自分自身の夢)に入り込んで、夢を自分たちの望む形、状況に換えていき、最終的には他人の頭の中の情報、アイデアをゲットするという流れです。
夢は夢なので、通常では起こり得ない突拍子もないことも起きます。その『夢をいかにして操作するか』というプロセスをかなり丁寧に描写しているので、それなりに説得力があり『いやいや、それはないでしょ~?』とならない、上質な嘘にしているのはたいしたものです。
一方で、『他人の夢に入れる』『夢の世界を、複数人で共有できる』『夢の中でも自らの意思で行動できる』を可能としているのは、ある装置のようですが、これには一切と言っていい程触れられていません。レオが自分自身の夢に1人で入っているシーンもあるので、夢に入って行動できるのは彼らが超能力を持っているからとかではなく、間違いなくこの装置が必要なハズです。たぶん微妙なところだったのでしょう。この装置まで説明しだしたら時間がなくなるし、絵的にも全然面白くないし。しかし一言も説明がないのはずいぶん思い切ったなと思います。
先にも書きましたが、ストーリーはもとより、カメラ割り、演出、音楽まで完璧に練り上げられています。
よくDVD化された時にメイキング映像が特典として入っていたりしますが、
レオ「このシーンを撮影していて思ったんだ、こういう風に撮ったらどうか?って。それを監督に相談したら、それはいい!って言ってくれて…。それであのエキサイティングなシーンが完成したんだ」
とかいうことが極めて『なさそう』な監督です。
映像も無茶苦茶綺麗…というか、『美しい』という表現がピッタリ。チープな言い方ですが、天才だと思います、この監督は。
設定上、どうしても話が複雑で理屈っぽくなってくるし、みんながみんな楽しめる作品ではないと思いますが、僕は鑑賞後『いい映画観たなあ』と思いました。2時間30分とやや長めの作品ですが、がっつり向かい合って観て欲しい秀作です。
そういえば、日本ではレオナルド・ディカプリオと渡辺謙のダブル主演!ぐらいの勢いでプロモーションされてましたが、謙さん思ったより活躍は少ないです。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいいたします。
返信削除コウスケさんの目線で書かれたこちらの記事、読んでいて素晴らしい記事だと思いました。
私はまだインセプション、残念ながら観ていないのですが、義妹の旦那からクリスマスプレゼントにブルーレイでもらいました。もともとあまり映画好きではない人なのに、プレゼントに選んだのでよっぽど気に入ったんだと思います。これすごいよって言っていました。
先に観た旦那が、内容が複雑だから、私には英語だしちょっとわかりにくいと思うと言っていましたが、今回おかげで観る決心がつきました。絶対観ます!あらすじ、ありがとうございました。
Rumikoさん
返信削除明けましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願い致します。
素晴らしい記事 とは…。そんなにストレートに褒めて頂くとなんだかはずかしいですが、嬉しいです!
インセプションを観る準備はバッチリですね!また感想を教えてください。
観賞後の充実感と余韻がとてもいいですよ。
インセプション、前回のコメントのあとその夜すぐに観ました!コウスケさんの記事がなかったら、頭が混乱しエラいことになってしまうところ、頼りのワンクッション(↑の素晴らしい感想のことです)が入っていましたので救われました。
返信削除私の感想といっても、コウスケさんのように上手く書けないので幼稚なことしか言えないのですが、見事な出来映えの映画でした。この監督にとって私の一般のストレートな頭など、簡単にもてあそぶことができるみたいですね。もてあそばれて楽しかったです(笑)。最後もこの映画独特の余韻を残しましたね。このような種類のストーリーはとにかく初めてでした。
それと、レオナルドディカプリオはいい味の役者に成長したんだなと感じました。インセプションまで、私の中ではタイタニックの切なくきれいな青年のままでしたが、結構彼は過去にも中身の濃い、いい映画ばかりに出演しているんですってね。。。ディカプリオには失礼ですが、全く知りませんでした。いいかげんにタイタニックから卒業させてくれ!という声が聞こえてきそうですが。
Rumikoさん
返信削除ディカプリオはタイタニックのヒットで一時期は美形であることが一番の売りみたいになってましたが、それ以前の作品『ギルバート・グレイプ』『バスケットボール・ダイアリーズ』などで演技力を高く評価されてました。でもまあ美男子であることは変わらないですけどね。
ブラッド・ピットもそうでしたけど、年とともに綺麗な青年から、ダーティorワイルドなかっこいいおっさんにいかにシフトしていくか、ハリウッド俳優としては生き残りをかけた大問題だと思います。その辺ディカプリオは上手に進化しましたね。不精髭が似合う男になりました。今オーランド・ブルームがその進化途中にあると分析しております。
さすがコウスケさん、なるほどと思いました。いつも読みが深いですね。
返信削除そういえば、オーランドブルームは最新のパイレーツオブカリビアンに出ていませんよね?色々な役柄をこなす俳優になりたいからという理由でオファーを断ったそうですが。コウスケさんのおっしゃるように、進化しようとしているということですね。