たまに妻と子供が実家に帰省して、一人暮らしになる時があるのですが、
そういう時、俺がまず何をするのかと言うと、近所の『TSUTAYA』に走って、気になる映画を見たり、最近では漫画もレンタルできるので、昔読んでいた漫画の続きを借りたり、おもしろそうな漫画を試し読みしたり、一人をいいことに半分引きこもりのように過ごしているのです。
世の男性はこういう時、女性が関わってくるような楽しい事をして過ごしているのかもしれません。それに比べ、俺ってどうしようもない奴だなあ…。とも思うのですが、俺にはそういう休日も必要なんです!
今回はそんな中発見したオススメ漫画の紹介記事ですが、俺は漫画本を1冊も所有していません。別に『大人は漫画なんか読まないんだぜ』と、気取っているわけではく、読んだ後邪魔になるし、漫画本がそこらへんに転がっていると何度でも読み返してしまう悪癖を持っているため、所有したくないのです。漫画自体は好きです。
最後に漫画本を買ったのは、大学時代の夏休みに退屈だったので買った『ベルセルク』の新刊だったでしょうか。ガッツがロシーヌと戦ってた頃。この頃はすごく面白かったのになあ…。もちろん読んだ後は即効で古本屋に売りましたが。
だから漫画がレンタルできるようになったのは嬉しい。これで長々立ち読みすることから開放されましたよ。
そんな漫画大好きだけど、所有はしていない俺が、『嘘喰い』以降、これは紹介せずにはいられない! という漫画(家)に出会いました!
『僕の小規模な失敗』『僕の小規模な生活』『うちの妻ってどうでしょう?』
作者は福満しげゆき さん。
なぜわざわざ作者名を挙げたかといいますと、『僕の小規模な〜』『うちの妻〜』どちらも作者の日常をテーマにしたエッセイ漫画だからです。
『小規模な失敗』は主人公(作者)の青春時代からはじまり、
高校生活に馴染めず孤立感をかかえ、漫画家を目指すことで己の存在意義を見出そうとするも上手くいかず高校を中退。孤立感ばかり募らせ、再度定時制高校に入学。なんとか大学に進学するも、相変わらず孤立感、無気力に苛まれ続ける中、ある日将来の妻になる女性と出会う。彼女に振り向いてもらおうと主人公はがんばるが…。
『小規模な生活』はこれの続編になり、現在も連載が続いています。
このシリーズは鬱々とした作者の青春時代〜奥さんとの出会い〜漫画でなんとか生計を立てようと、日々不安に襲われながらもどうにかこうにか頑張る〜そしてどうやら漫画でやっていけそうな感じになってきたぞ。といった『まんが道』的要素もあって面白いです。(ベクトルは違いますが、漫画で漫画家の話を描くという今流行のバクマンみたいな要素。)
『うちの妻〜』は奥さんとの生活ネタメイン。結婚してからの話なので『小規模な〜』の初期のような鬱々とした感じはありません。
同じエッセイ漫画として連載が続いているため、正直言って現在では両作とも内容がかぶっているような気がしなくもないですがでも、まあ、とにかく最高なんですよ!
じゃ、どこがいいか箇条書きで!
絵柄が好き
初期『僕の小規模な~』う〜ん。なんでしょうね?この独特の雰囲気は。不思議な魅力があります。
『普通の漫画』で仕事をもらうのは難しいと考えた主人公(作者)は「エロ漫画なら…」ということで、出版社にエロ漫画を持ち込みにいくことを妻に報告するシーンは、なんか妙で、おかしいのです。
徐々に絵柄が洗練されて現在はこんな感じの絵に。初期と比べると垢抜けた印象ですが、初期のじっとりした雰囲気も好き。
|
好きなコマ。 |
とにかく悩む
作者はもともと考えすぎで心配性な性格のようで、色々不安になって、苦悩するネタが多いのですが、高校時代のエピソードからスタートする『小規模な失敗』の頃は、思春期独自の感覚というのか、とにもかくにも初期はむやみやたらナイーブに苦悩する主人公が描かれます。
作者の福満さんは青春時代になにか強烈な劣等感というかトラウマがあるらしく、結婚して子供ができた現在でも青春時代のトラウマを漫画のネタにすることがあります。
そういうナイーブさ…好きです! 太宰治みたい!
ツボをついてくる
これは説明が難しいのですが、奥さんに「なぜ自分と結婚したのか?」 と問うと
|
全盛期の椎名林檎病 |
青春時代の背景や、こういう同世代だから共有できるネタから、たぶん作者の福満さんは俺と年齢が近いのだなと思っていましたが、プロフィールをみたら(ウィキペディア調べ)、見事に同じ年齢でした。しかも誕生日も1日違い。さらには妻も同じ年。これは何か、縁を感じずにはおれません。
恋はミラクル
作中に大きな存在感をもっているのが奥さんなのですが、結婚に至るまでの話がこれまた興味深く、『かわいい妻』に出会ってメロメロに惚れてしまった主人公(作者)は、当時奥さんにストーカー扱いされていたという事実も容赦なく描かれていて、痛々しいけれど笑ってしまいます。
福満氏にとっては、この奥さんと出会い、結婚できたことは、運命を大きく左右した出来事だと思います。今回紹介している作品も奥さんがいたから成り立っているとも言えますし。とにかく奥さんのことが好きらしく、半分ネタ化してるとは言え、
|
出会った頃 |
|
結婚後1 |
|
結婚後2 |
とか。かなりの愛情 (依存?)。なにより初期の頃から、どのようなシーンでも奥さんをとても可愛く描いているあたりから、愛情の深さが伺えます。
ストーカー扱いの男から結婚~現在。
不器用な男の壮大な恋物語、恋愛から夫婦生活と関係性の変化も見ることができて、これまた面白いのです。
擬音がいい
擬音、効果音の天才といえば『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生が有名ですが、この作品も作風にあった妙な擬音が味わい深い。
|
息子が誕生 |
赤ちゃんがぐずる声をこう表現するとは…。
俺が表現するなら「うぐっ、うぐっ、ヒックヒック」でしょうか。普通ですね。
これは天才の成せる技です。
そんな訳で、オススメポイントは尽きませんが…
あれですよ、あまりに情熱的にプッシュしすぎると、かえって「う〜ん。とりあえず今はいいや」という感情を起こさせてしまうんでしょうね。だから今回もやりすぎてしまったかもしれないです。
このブログを読んでくれている稀少な皆様、少しでもピンときたら読んで損はない!…………と思います。
もし、俺の身近な方で興味を持たれた方がいたら、一声かけて下さい、貸し出します。
漫画本を買わないというライフスタイルをこの本が覆したのです。ええ、全巻買いましたよ。
初期の読み切り作品を集めた『まだ旅立ってもいないのに』も読んだのですが、さすが『ガロ』でデビューしただけあって、あまり一般受けはしない作風だと思い、今回は紹介してません。
しかし『ガロ=つげ義春』程度のイメージしかない俺でも、その期待を裏切らないシュールな作品群です。こちらも機会があればご一読を。