部屋の片付けをしていたら出てきました。
さて、みなさんはこれが何か分かりますか? そう『MD(MiniDisc)』です。
デジタルオーディオ記録用光学ディスク媒体で、1992年発売。カセットテープに変わる新しい録音媒体として世に誕生しました。アナログのカセットテープと違いデジタル信号を記録するため、CDとほぼ同じ音質を再現可能(厳密にはデータ圧縮により少し劣化する)。扱いもCDと同様で、曲の頭出しも一発。曲数を指定しての一発呼び出しもOK。繰り返し編集可能で、曲の消去や曲順の変更、さらには曲をセパレートしたりも出来る上、文字情報(主に曲名、アーティスト名など)も入力可能と、まさに至れり尽くせりの録音媒体。それがMD。
当時、大学生だった僕はバイト代10万で購入したボロ車をいかに快適な音楽空間にするかに情熱を注いでおり、とりあえずカロッツェリアのスピーカーを増設。次はカセットオーディオを変えたいな…と考え、「今変えるなら」とCD&MDのデッキを付けようと決心しました。しかし家のラジカセはCDとカセット。これはコンポも買うしかない!僕はデジタル化に向け、一気に舵をきったのです。
その時のカーオーディオCD&MDデッキの価格は大体8万〜。コンポは4万〜。と手軽なものではなかったですが、春休みに冷蔵倉庫とクロネコヤマトで荷物を仕分けをしまくって資金を調達。クルマにはアルパイン製のデッキ(10万くらいだった)家のコンポはビクター製。デザインの気に入ったものを買いました。10万で買ったクルマに10万のデッキを付けて、友人には「そんな事をするより、その分いい車を買った方がよかったんじゃない?」
と言われましたが、そんな意見はまったくナンセンス。
カセットテープに変わる音楽媒体として我が家にやってきたMD。コンパクトで四角く美しいクリアーボディ。内部で輝く光ディスク。これはもう未来です。未来がやって来たのです! 美しすぎる!
時はたち、現在では数年前にコンポを破棄してしまいMDを編集するすべを失い、車も所有してないので聞く場所も機器も無くしてしまいました。しかし心配は無用です。ご存知のように今は音楽をデータとして持ち歩くのがスタンダード。ミニディスクと同程度の大きさがあれば、膨大な量の楽曲を管理できる機器が安価で買えるのです。CDは商品としてのパッケージや、早くから普及していた土台をいかし今でも現役ですが、MDは今やその役割を完全に失ったと言っていいでしょう。
こうすると現代アートみたいじゃないですか? やはりMDは美しい。
発掘したMDたちも、今 我が家では聞くことはかないません。当時を思い出すキーワードとして、my MDコレクションからいくつか興味を引いたタイトルを紹介してみます。再録には至らない.
でも、もう一度聞きたい佳曲、名曲たち。
アルバム編
hide TRIBUTE SPIRITS (1999年)
1998年5月に急逝した元X-JAPANギタリスト、hideのトリビュートアルバム。参加アーティストは布袋寅泰、清春、コーネリアス、LUNA SEA、GLAY、BUCK-TICK、YOSHIKIなど、名だたる顔ぶれ。
原曲とはかけ離れたアレンジを加えた楽曲多数で「この曲はこうじゃねえ!だいたい歌ってるアーティスト、誰だよこいつ? 知らねえぞ!」と叫びたくなるトリビュートアルバムも多い中、このアルバムは各アーティストが原曲に忠実に演奏していることに加え、曲のイメージに奏者・歌い手が上手くハマっていたように思います。清春の『Beauty&Stupid』なんかドハマリ!
MARS Gackt (2000年)
まさかのダークホース。Gackt様のファーストアルバム。
PVでスーパーサイヤ人のような髪型をしたGacktが見られるスマッシュヒット曲『Vanilla』収録。凹んだ時、この曲を爆音でかけ、車で疾走していた頃があったのを思い出しました。Gackt様の勇ましい歌声に痺れます!
pure soul GLAY (1998年)
頂点に駆け上がり、ヒット曲を連発していた頃のGLAY、4thアルバム。一番初めにMDに録音した記念すべきアルバムなのですが、あまり聞いた覚えがない…。ちなみに個人的GLAYナンバー1曲は『Yes Summerdays』(1995年)。カメリアダイヤモンドのCMに起用された曲です。当時カメリアダイヤモンドのCM曲はかっこいい曲ばかりだった記憶があります。
思ったよりも早く、アルバム編はネタ切れ。
シングル編
Fly SMAP(1999年)
なにげにスマップの曲で一番好き。でもあまり人に共感されません。
ビューティフル SOPHIA (1999年)
1つ前にリリースされた『黒いブーツ~oh my friend~』もよかった。
ボーカル、松岡の歌い方にはクセがあってあまり受け付けなかったのですが、
この2曲は聞きやすかったです。『街』とかも懐かしい。『ビューティフル』は歌詞がいい。
「理想的なDaddyになるのさ。危ない薬も喧嘩もしたことないよ。………Rockは詳しいぜ! !」
ギリギリchop B'z (1999年)
このタイトルセンス。さすがB'zはすげえな!と唸らせられた良曲。
微熱 川本真琴 (2000年)
天才、川本真琴6枚目のシングル。ドラマの主題歌になっていましたが、セールス的にはふるわなかった。でも冬に聞きたい超超名曲!。この前後から迷走をはじめ、次第に表舞台から遠ざかっていきましたが、好きなアーティストなので頑張って欲しい。カセットテープ時代の名曲で彼女のデビュー曲『愛の才能』(1996年)は岡村靖幸、作曲・編曲。天才同士の組み合わせ。通りでいい曲なわけだ。
Wait&See ~リスク~ 宇多田ヒカル (2000年)
曲自体はベストアルバムなどで聞けるのですが、このPVにおける
宇多田ヒカルの『この子綺麗になったな度』は半端ではなく、目茶苦茶ビックリした思い出。
GAME bird (2000年)
後にみうらじゅんの子供を妊娠、出産と、とんでもないことになってしまうbirdの名曲。そういえば、この頃やたらとdivaという言葉が使われだし、そこらかしこ歌姫だらけで、まあ、間違ってはないんだろうけど、その言葉の価値はガクンと落ちたな。と思っていたものです。
come again m-flo (2001年)
文句なしの名曲。どうやったらこんな曲が作れるのかさっぱり分かりません。その後LISAが脱退したのは残念でした。
〜Midnight Dejavu〜 色彩のブルース EGO-WRAPPIN'(2001年)
くちばしにチェリー EGO-WRAPPIN'(2002年)
これもベスト盤に収録されているのですが、とにかくカッコイイ!!
シングル曲は当時、その時期に流行っている曲や良さそうな曲を3ヶ月周期ぐらいでレンタルしてきて、まとめてMDに録音してたもので、何を収録しているかすぐ分かるようにMDの表面にお気に入り曲のタイトルを2つほど書きこむのが習慣でした。そのメモと記憶を頼りに書きだしています。しかしその他の、おそらく自分でもびっくりするような曲がこのMDたちには収録されているはず…その辺に真の面白みがあるのですが…。今『う~ん』と思い出したところ、
ミニモニ。ジャンケンぴょん ミニモニ。(2001年)
ナンダカンダ 藤井隆 (2000年)
なども録音した記憶が蘇ってきたことを告白します。そういえばこの頃は 松たか子もCD(もちろん歌の)を出していて……………………………………………………………………………………どんどん記憶が蘇ってきますが、もう完璧趣旨が変わってきてしまったので、その話題はまた次にしようと思います。
カセットテープほどのノスタルジーを感じるわけでもなく、今やなんだか微妙な存在となってしまったMD。
でも、君はあの時間違いなく最先端で、僕の憧れだった。